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「サルトリイバラ喫茶室」試(ココロミ)ノート 「美味しさ」の指標②

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薬膳的視点からの話をひとつ。

 

薬膳、ひいては中医学の分類法に基づくと

あらゆる食品はまず「五味」「五性」に分類される。

 

「五味」は「酸(すっぱい)・苦(にがい)・甘(あまい)・辛(からい)・鹹(しょっぱい)」

「五性」は「冷(ひやす)・涼(ちょっとひやす)・平(ひやしもあたためもしない)・温(ちょっとあたためる)・熱(とってもあたためる)」

※薬膳(中医学)の分類法はマクロビオティックのそれとは根本的に異なる。

 

さらにそこから口にしたものが体のどの部分(五臓六腑ほか)へ

どのような経路を通りどのように作用するかが細かく分類されているが

到底簡単には書ききれないため割愛させていただく。

 

薬膳はその細かな分類法を基に施膳(献立)を考えていくのだが、

現代においてその分類法が適用されにくくなってきてるとの話がある。

 

例えば鶏肉は「甘・温」の食材で体力の低下やお腹の冷え、冷え性などによく適応される。

しかしブロイラー(肉鶏の一品種。短期間で急速に成長させる狙いで作られた品種※ウィキペディアより)は

甘味は薄れ、温ではなく冷~涼ではないかという話がある。

 

飼料、肥料をはじめ動植物の生育環境によって

多少の五味五性が変わるのはさもありなんというところだが

五千年に及び考察されてきた中医学的分類が

ほんの数十年で急速かつ大きく変わった「食材の質」に適応できなくなってきている。

 

仮に上記の話が真実として

元来の分類に基づいて献立を立てても

全く逆の作用のものが出来上がってしまうということも十分にありうる。

 

温の茶である紅茶はどうだろう。

茶は産地や製法によって大変細かい分類のある食材の一つだ。

栄養たっぷり、無虫無菌になるよう育てられた茶は。。

温の酒もまたしかり。

 

私たちの「感覚」はちゃんとその違いを感じ取ることができるだろうか。

 

中医学的視点など無用の人にとってはただの無駄話のひとつに過ぎぬだろう。

ちなみに店主はひたすらに肯定と分類だけがあり否定のない(ように店主には思える)

中医学的視点がとても気に入っている。

五感を駆使した長きに渡る考察の集積。

 

そして当店では穏やかにやさしく身体が温まるような

茶と食と空間をご提供・ご案内できますように、と思っている。

 

頭ではなく五感を磨きたい、この頃。

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