0

「サルトリイバラ喫茶室」的 黒糖蜜香る新茶

LINEで送る
Pocket

沖縄県の名護、かつて羽地と呼ばれていた土地から、久々に品種別の初夏摘みの紅茶が届いた。
異常気象による茶葉への影響については店主も折に触れ話題にしているが、暖冬が続き台風の被害も増えている沖縄の作り手の茶樹も、その影響を多分に受けている。
その中で無農薬での紅茶作りに試行錯誤する作り手から、今年はべにふうきとべにほまれの2種類の紅茶をご紹介。
どちらの紅茶にもサトウキビから作られる糖蜜のような、甘く香ばしい香りが漂っている。
そしてどちらもとても紅茶らしい紅茶、といった風味に仕上がっている。

華やかな香りにしっかりとした苦渋味が特徴的なべにふうき。
作り手のべにふうきの紅茶は、黒糖のような香りの中から桃や杏に似たフルーツ香が顔を出す穏やかな甘い香り。
甘い香りだが、作り手らしいすっきりとした口当たりに、品種特有のきりっとした渋味が甘い香りを引き立てる。
当店の開業当初にご提供していた作り手のべにふうきと比較すると、今年の初夏摘みべにふうきは華やかな花の香りやフルーツの香りは控えめだが、黒糖に似た甘く香ばしい香りとコクを感じる風味は多くの方が紅茶に対して持つイメージに近く、親しみやすい紅茶に仕上がっている。
作り手の変わらぬ香味と新たな香味に出会う紅茶でもある。

べにほまれは紅茶用品種らしいしっかりとした風味が特徴的な品種。
作り手のべにほまれは、べにふうきに共通する甘い黒糖蜜のような香りがしつつも、香りの奥から少し薔薇の花に似た甘くもすっきりとした花香がすいっと現れる。
味わいはべにふうきよりややどっしりとして丸みがあり、黒糖蜜を想起させる甘く淡い旨味にコクのある味わいで、いかにも紅茶らしい渋味がある。
渋味はあるが、まろやかな旨味とコクもあり味わいのバランスがよく、しっかりとしているが重すぎない風味に作り手らしさを感じる。
インドのアッサム紅茶を想起させる風味と色合いは、程よい飲みごたえでおやつだけでなく料理とも合わせやすい紅茶のひとつ。
ミルクを少し落として飲んでも面白い。

急激に変化(悪化)する環境に、植物はもとよりそれを扱う人たちも技術やアイデアなどあらゆる引き出しを開けながら、懸命に対応・適応していかなくてはならない。
今の異常といわれる気象が続く限り、今後も絶えず対応し続けなくてはならないだろう。
食に関して言えば、今日の環境の影響で私たちは「伝統の」「昔ながらの」といった風味はおろか、「昨年の」「ほんの少し前の」風味にさえ触れることができなくなるのではないかと危惧する。
程よく涼しく心地よい真夏の夜風さえ、もう二度と体感することができないずっと過去のことに思われるように。
それでも、作り手たちが毎年試行錯誤を繰り返しながら茶葉から紡ぎだした風味を口にすると、そこには希望があると確かに感じることができる。
この作り手の紅茶を飲みながら、変わったものと変わらない風味を確認しながら希望の風味なのではないかと気持ちが明るくなる。
作り続けられるものを飲み続けることで、いろいろなことを考えさせられいろいろなものが見えてくる。

紅茶が恋しくなる時期も間近に、当店で日本の南の作り手が醸す紅茶の風味を、ゆっくりとお楽しみください。

当店の通販サイト(https://shop.sarutoriibara-kocha.net/)でも当店の茶葉をご購入いただけます。

※当店をご利用の際は、当店の階段登り口あるいは扉に貼っている、注意書きをご一読いただき、ご納得された上でご入店ください。
当店はマスク着用入店、一組2名様まで、おしゃべりはご遠慮いただいております。

#喫茶店 #カフェ #高円寺 #サルトリイバラ喫茶室 #国産 #オーガニック #無農薬 #自然栽培 #薬膳 #紅茶 #国産紅茶 #ハーブティー #おやつ #おこわ #名護 #べにふうき #べにほまれ #japanesetea #organic #kouenji #blacktea #naturalfarming #okowa #newlypickedtea #firstflush #okinawatea

LINEで送る
Pocket