先日、寒気を和らげるような食材が届いた。
福岡県三奈木産の黒砂糖。
福岡県で黒砂糖が作られていることは少し前まで知らず、そのことを教えてくれた友人が、出来立ての黒砂糖を送ってくれたのだ。
希少なものをいただき、何とも有難い。
江戸時代からこの地で黒砂糖が作られていたものの、1965年には一度途絶えてしまったらしいのだが、地元の有志達が立ち上がり地元住民や製菓会社・行政・農協の協力により昭和57年に復興したとのこと。(JA筑前あさくらのHPを参照)
写真では伝えきれないが、光に当たるときらきらと美しく光る結晶。
琥珀色に近い淡い色味に、さらりとした口当たり。
後味にミネラルを感じるふくよかな、少しキャラメルを思わせる風味。
ふわりと膨らみ、さらさらと去っていく上品な甘味。
その味わいに店主のテンションが上がる。
この黒砂糖の上品な風味は幅広くいろいろなお茶に合いそうだと思いつつ、今日は何のお茶を合わせようかと悩み、宮城県五ヶ瀬のべにひかりという品種の手摘みの春摘み紅茶に決めた。
べにひかりは紅茶用品種として作られたものだが、多くの方が聞いたことがあるだろうべにふうきの華やかさとはまた違った、程よい甘い旨味感と時にすっとメントール感のある香りを発する品種。
今日選んだ作り手の紅茶は、メントールのようなすっとした香りはほとんどないのだが、舌に広がる優しい甘味(旨味)に良い塩梅で重なる渋味が誠に心地よい。
何にでも合わせやすい穏やかさの中にメリハリを感じる紅茶だ。
飲み終わりに鼻腔に残る柔らかな甘い香りが印象的。
黒砂糖をかじって茶を啜ると、店主が思う以上に紅茶の風味が口の中をさっぱりと洗ってくれる。
黒砂糖の風味の方が強いかと思ったが、黒砂糖の風味に重なるようにして現れる紅茶の風味に、予想以上にこの紅茶の香味がくっきりと主張するのだと気付かされる。
黒砂糖の温かみのある風味、紅茶の温かみのある風味。
薬膳ではどちらも温性の食材とされ、風邪の予防や改善、気持ちを落ち着かせると言われ冬にはおすすめの組み合わせ。
伝統的なこれらの食材が、これからも守られその地にあり続けることを願いながら、素敵な食材を知らせ届けてくれた友人に心から感謝する。
誠にありがとうございました。
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