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「サルトリイバラ喫茶室」的 移ろう香味を堪能する 後半

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猿島の紅茶の紹介、後半。

後半はやぶきた実生1st、ほくめい1st、やぶきた2nd、百年在来2ndをご紹介。

作り手はいずみだけでなく、種から育った在来種やぶきた実生など、緑茶用品種から魅力的な紅茶を作り出す。

やぶきた実生は、じっくりと大地に根を張って育った希少な茶の木から、春に丁寧に摘まれた紅茶。
軽い発酵の 1st フラッシュは、青く若々しい柑橘様の甘い香りの中に薄っすら芳ばしさが漂う。
今年も透明感ととろみのある茶液から、優しい甘味と淡い旨味が広がる。
喉越しとともにほわりと作り手特有のたおやかな花香が鼻を抜ける。
フレッシュではあるが、爽やかで尖りがなく、ストレスを感じない味わいと喉ごしで、飲むほどに優しく甘い香味を発する。
やぶきた系の茶葉から、このような華やかな風味を引き出す作り手の卓越した技とオリジナリティ溢れる製茶。
フレッシュさのある優しい香味の妙を是非お試しあれ。

今年も入荷した、ほくめい1st。
ほくめいは主に深蒸し緑茶用の品種として知られているが、作り手の手にかかり紅茶になると、ふっと香る柑橘香を覆うように、沈丁花や丁子、夜香木、僅かにクロモジを想起させるような、独特の優しい花香を放つ。
今年は青い若葉と豆っぽい香ばしさ、蘭や沈丁花にも似た花香がふわりと香り立つ。
優しいふくよかさの後に程よい渋味が現れ、華やかな香味を引き締める。
この紅茶は一見カテゴリーが異なるいくつかの独特な香りで構成されていながら、飲み終わりには全ての香りが違和感なくまとまり、甘くもすっきりとした味わいが香りを引き立てる。
穏やかさと華やかさが同居する、個性的な香り高い紅茶に仕立てられている。

やぶきた2ndと百年在来2nd。
ともに滋味深く「紅茶らしさ」を感じる紅茶で、どんな料理や菓子にも合うような柔軟かつ奥行きのある、飽きのこない風味。
シーンを選ばず日常にすんなりと馴染む日本の紅茶、としておすすめしたい味わいだ。

やぶきた2ndはほんのりと果汁感のある柑橘系の甘い香り、円やかなコクと味わい、淡く心地よい渋味。
風味のバランスが良く、薄めでも濃いめに淹れてもその調和が保たれ、幅広く食事や菓子に合わせやすい。
存在感がないのとは異なり、合わせやすいのにふわりと現れる風味は、食事を引き立て口の中をすっきりとさせ、満足感をもたらす。
クセがないという言い方とも違う、柔軟な風味は是非日常茶に取り入れてほしい。

百年在来2ndは、温かで甘さを強く感じ、やや木質のすんとした清らかな香りが鼻を抜ける。
甘いコクとともに感じるごく僅かな渋味。
香味に温もりがあり厚みがあるように感じるが、同時に透明感のある清らかな風味。
特徴的な香りが穏やかさの中に優しく調和し滋味深く、作り手の掬い出す土地の香りを上品に放つ。
優しさと同時に力強さのある風味は、甘さのある菓子や乳製品を使用した洋菓子にも違和感なく寄り添う。
紅茶の滋味をしみじみと感じる、土地の香りをお楽しみいただきたい。

華やかな香味を発するいずみを使った紅茶は言わずもがなだが、作り手の在来種ややぶきたといった緑茶用品種の紅茶を口にすると、はっとさせられる。

時に新鮮、時に深いコクを放ち、滋味深く優しく腑に落ちる。
上質な日常茶。

私見だが、このようなお茶をより多くの方が日常的に口にできるようになれば、紅茶に限らず日本のお茶の未来は、より明るく開かれたものになるのではないかと思わせる風味。

作り手たちにはそれぞれ華やかで代表的な紅茶があるが、華やかさとは別の表情を見せる、美しい味わいや土地の香り漂う紅茶がある。
その紅茶に漂う滋味を、より多くの方に感じて欲しい。
その思いが開業に至り、今もなおその思いは変わらない。

華やかで香り高い紅茶とともに、優しく温かな陽だまりのような紅茶から醸し出される風味を、当店で是非静かにゆっくりとご堪能いただけますと誠に幸いです。

お茶は通販サイト(https://shop.sarutoriibara-kocha.net/)でもご購入いただけます。

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