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「サルトリイバラ喫茶室」的 ふっと花咲きはっと驚き

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日が短い時期、日に日に寒く、いよいよ年末らしくなってきた。

今日は、小麦粉に粗めの米粉と米ぬかを混ぜ、米油と豆乳を加えて焼いたという、徳島の神山で作られたザクザク食感の素朴なベジタリアンビスケットをいただいた。

合わせた紅茶は、愛知県の新城で作られたやぶきたという品種の春摘み紅茶。

神山の農家さんが、小麦粉に米ぬかを混ぜて作っていたおやつにヒントを得てできたというビスケットは、食感がザクッとしていて風味は優しく甘さはかなり控えめで、素朴で単調な味わいについ食べ過ぎてしまいそうだ。

乾燥した菓子で奪われた口の中の水分を補うように茶を飲むと、自分が予想していた以上に主張する茶の香りにはっと驚かされる。

当店はやぶきたという品種で作られた紅茶をいくつか扱っているが、この愛知の作り手の紅茶は優しく穏やかで、飲み終わりにほんのりと花香が喉元から鼻腔へ上品に香る、柑橘香より花香の印象が強いと認識している。

しかし、そのほんのりと香る花香だと思っていたものが、ほんのりではなくしっかりと喉を覆い、百合ともスミレともつかない甘い香りを発する。

高らかに、というより華やかに。

ふわりと華やかに、あくまでもしっとりと上品に。

菓子の素朴さに、ふっと花が咲く。

何度か、あるいは何度も口にしたお茶でも、何気なく淹れてはこんな香りや風味を持っていたのかと驚くことは日常茶飯事。

お茶自体もゆっくりと変化している。

それぞれのお茶のさまざまな魅力を、見出し尽くせないままに、また新しい年の新しいお茶と出会うのか、と思うと軽く愕然としてしまうが、作り手たちのますます磨かれた技やアイデアとの出会いを思いつつ、飲み手も前に進むべし、なのかもしれない。

それでも、当店でご用意した紅茶の魅力をよりよくお伝えできるよう精進してまいります。

当店で静かに日本のさまざまな産地の紅茶の魅力を発見し、お楽しみいただけますと幸いです。

店頭及び通販サイト(https://shop.sarutoriibara-kocha.net/)で、茶葉がお買い求めいただけます。
只今年末又は年始のちょっとしたものを準備中です。

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